大規模修繕工事中の家賃減額?知っておくべき実務ポイント!

大規模修繕の豆知識 2025.12.05 (Fri) 更新

こんにちは!


修繕プランナー横浜の倉持です。

 

大規模修繕工事の期間は、オーナー様にとって「建物が良くなる」期間である一方、入居者にとっては「生活に不便が生じやすい」期間になりますよね。

そのため、もっとも起こりやすい相談が「家賃を減額してほしい」という要望なのをご存じでしたか?

今回の記事では、大規模修繕工事と家賃減額の関係、法的な観点、オーナ様としての対応策、トラブル回避まで、実務に役に立つ情報を詳しくまとまめてみました!

入居者からの減額要請に対応する際の判断材料として、ぜひ参考にしてみてください!

 

1.大規模修繕工事とは何か?オーナ様が押さえておきたい基本!

 

今までのブログでも散々ご説明してきましたが、簡単にですが改めてご説明します!

大規模修繕工事とは、外壁、屋上防水、共用部など、建物全体の老朽化をまとめて改善する工事のことです。

通常12年~15年を目安に実施され、建物の資産価値維持のために欠かせません!!

 

ただし工事中は、、、

・騒音

・足場の設置による日当たり・風通しの悪化

・ベランダ利用制限

・工事車両や作業員の出入り

など、入居者の生活に一定の支障が発生します。

 

そのため、家賃減額を求められる可能性が高いのです。

 

 

2.大規模修繕中はの家賃減額は必要?法的には?

 

・法的根拠は民法

 

民法第611条(旧601条)では、「賃貸物の使用・収益が制限された場合、賃料はその減少割合に応じて減額される」と規定されています。

つまり、オーナー様側に落ち度がなくても、工事による生活制限が発生すれば家賃減額が認められる余地があるということです。

 

・”減額しなければ違法”ではない

 

ポイントはここです!

 

・オーナーの義務ではない

・入居者の請求内容や制限の程度に応じて判断

・裁判になった場合は「どれだけ生活が妨げられるか」が重視される

 

つまりオーナ様側が適切に説明していれば、必ず減額しなければいけないわけではありません!

 

 

3.裁判所が重視するポイント

 

裁判例を見ると、以下を特に重視しています。

 

①制限の”程度”

 

・騒音・粉じん・臭いはどれぐらいか?

・ベランダ使用禁止の期間は?

・日照はどれほど失われたか?

 

②”期間”

 

2日だけの騒音と、2カ月の騒音は全く扱いが違います。

 

③事前説明の有無

 

・工事内容

・工事期間

・生活への影響

・協力のお願い

 

これらを事前に説明しているかで「オーナ様の誠意」が判断されます。

 

④工事が建物維持に必要かどうか

 

必要な工事であればオーナー様側に非はありません。

 

 

4.減額立の”現実的な目安”

 

裁判例・賃貸管理会社の実務を総合すると、以下のような目安になります。

 

工事項目・影響

減額目安(相場)
騒音が数日続く程度

0~5%

騒音+共用部制限(1~2週間)

5~10%

ベランダ全面使用禁止(1~2カ月)

5~15%

日照大幅減・洗濯不可期間が長い

10~20%

在宅ワーカーへの影響が大きい

15~25%

※ケースによって上下します・

 

 

5.入居者タイプ別にみる”減額請求されやすいケース”

 

 

①在宅ワーカー(テレワーク)

最もクレームが出やすい層です。

平日日中の騒音が仕事に直結するため、10~25%の減額が出るケースが多いです。

 

②小さなお子様のいる家庭

昼寝の妨げや騒音ストレスから要望が出ることがあります。

ただし減額要求は低めです。(5~10%)

 

③高齢者

在室時間が長い分、影響を強く感じる傾向があります。

工事説明を丁寧に行うことでトラブル発生率は大きく下がります。

 

④単身者(昼間不在)

実務的にはもっともトラブルが少ない層です。

減額の前例もあまりありません。

 

 

6.実務で実際に起きたケーススタディ

 

ケース①:在宅ワーカーから大幅減額の要求

 

・平日10時から16時の騒音でオンライン会議に支障

・オーナー様から詳細説明は行っていた

・入居者の要求は2%の減額だったが、仕事への影響分として10%の減額で合意

 

こちらのポイントは、在宅ワーク時代の典型例!

 

 

ケース②:ベランダ使用禁止2カ月

 

・外壁工事と防水工事の重複で洗濯物が外に全く干せない

・室内干しスペースが狭くストレスに

・入居者からの要求は15%の減額だったが、他の入居者とも足並みを揃え10%減額で合意

 

 

ケース③:オーナー様が事前説明を丁寧に行った結果”減額なし”

 

・工事期間・騒音時間帯・ベランダ使用制限を文書で周知

・工事会社が挨拶回りを徹底

・入居者からの理解を得られ、クレームがほぼゼロ

 

こちらのポイントは、丁寧な説明の有無がトラブル率を左右するということです!

 

 

7.減額交渉がきた時の対応ステップ

 

①まず事実確認!

・工事はスケジュール通りか?

・騒音や制限が想定より大きくないか?

・工事会社に状況確認

 

②感情より”事実”を優先してやり取りすること!

入居者は不安な気持ちが先に立ちます。

まずは「ご不便をおかけして申し訳ありません」と前置きすると話がスムーズになります。

 

③減額幅を決める基準を明確にする!

・工事の必要性

・制限の程度

・期間・他の入居者との公平性

 

④書面で合意しておく!

後々のトラブル回避に繋がります。

 

 

8.減額交渉に応じないとどうなるのか?

 

まず結論としては、すぐ裁判になることはほとんどありません!

しかし、応じない場合は以下のリスクがあります。

 

・入居者が「家賃を一部だけ支払う」という行動に出る

・管理会社にクレームが増える

・退去を早めてしまう

 

このようなリスクを回避するために、柔軟に協議することが得策です!

 

 

9.トラブルを避けるための事前チェックリスト

 

〇工事前のチェックリスト(準備段階)

 

□工事内容の説明文書を作成

工事着工前に最も重要な作業となります!

あいまいさが残るとトラブルの原因にも繋がります。

文書には以下の項目が記載すべき内容となります!

・工事名称(例:外壁補修・防水工事)

・工事期間(開始日から終了日の予定)

・作業時間帯(例:9:00~17:00)

・想定される騒音・振動レベル

・足場設置期間

・ベランダ利用不可期間

・洗濯物の干し方(室内干し・コインランドリー案内等)

・防犯面での注意点

・緊急連絡先(管理会社・工事会社の窓口)

※いつ、どこで、どれぐらい不便かが明確であるほどクレーム率は低くなります。

また、文章だけでなく、図入りの資料があると入居者の方たちも理解しやすくなりますよ。

 

 

□騒音時間・使用制限の明記

特に入居者が気にするのは、「いつうるさいのか」「どれだけ生活制限があるのか」ですよね。

明記すべき項目はこちらの通りです。

・うるさい作業が発生する期間

・騒音が出る”時間帯”

・ベランダ使用禁止期間(防水工事)

・窓が開けられない期間(洗浄作業)

・共用部の通航制限

※騒音作業は「午前中中心」「1日数字間のみ」など具体的に書くのが良いです!

想定外の作業変更があった場合は、すぐに貼り紙と戸別通知をしましょう。

 

 

□入居者への事前通知(最低2週間前には通知しましょう!)

配布方法は、投函(チラシ)、エントランス掲示、メール・LINE(管理会社が対応している場合)などが挙げられますが、在宅ワーカーの方等には個別説明も有効です!

文書に入れるべき内容は、

まず、概要通知は工事の2週間前に行い、詳細スケジュールについては1週間前、騒音作業がある場合には前日に予告通知を行うのがベストです!!

 

 

□工事会社による挨拶回り

これは、1番効果が絶大な方法となります!

「どんな人が工事をするのか」を知るだけで、安心感が大きく上がります。

挨拶では、工事責任者の名前、工事会社の名刺、大きな音の出る期間、何かあった場合の連絡窓口等をお伝えしましょう!

 

大事なポイントとしては、高齢者・在宅ワーカーの方には特に丁寧に説明を行うことで、トラブルの予防率が大幅に上がります!

 

 

□管理会社と対応フローの共有

工事中のクレームは必ず発生します。

そのため、事前に役割分担をはっきりさせておくことが大切です!

 

・決めておくべきこと

 ・苦情対応の一次窓口(管理会社or工事会社)

 ・減額相談が来た場合のフロー

 ・”判断が必要な苦情”の扱い(オーナー様へ即連絡orまとめて報告)

 ・緊急対応(騒音苦情・事故・破損)

※管理会社に任せる範囲が明確になっていると、オーナー様の負担が減ります。

 

 

〇工事中のチェックリスト(進行段階)

 

□苦情窓口の明確化

「誰に連絡すればいいのか」が分からないと入居者の不満は倍増しますよね。

そうさせないために、エントランスや掲示板に窓口を記載し、文書を配布するようにしましょう。

また、工事会社・管理会社の双方の連絡先や、”24時間対応が可能か”も明記

することでさらに安心感が増します。

実際に窓口に連絡が来た際は、迅速に反応することで、減額要求も起こりにくくなりまます。

 

 

□進行状況の貼り出し

入居者は「今何の作業をしているか」「今日はうるさいか」日々の状況を知りたいものです。

掲示内容は、

・1週間ごとの作業予定

・当日の騒音作業

・使用制限の状況

・作業が延びた場合の理由と新たな日時

を記載しましょう。

掲示を怠ると、クレーム率は跳ね上がってしまうので、工事会社に掲示を義務付けるのが確実な方法です!

 

 

□騒音の激しい作業の周知

特に在宅ワーカーの方には必須になります。

騒音が強い作業の例は、斫り作業、高圧洗浄、梁・壁の補修、ハツリ・ドリルを使用する工事などが挙げられます。

 

 

□想定外のトラブルは即対応

・足場のネットが外れた

・ベランダに工具が落下

・作業員の私語や喫煙

・騒音が予定より長く続く

などがよくある例です。

 

こういったトラブルが起きたときは、”すぐに”、

・管理会社、工事会社へ連絡

・入居者に謝罪と説明

・再発防止策の掲示

・必要があれば減額協議

を行いましょう。

 

 

〇工事後のチェックリスト(フォロー段階)

 

□入居者へのお礼

工事に協力してもらった感謝を必ずお伝えしましょう。

※文面例

「工事期間中のご協力、誠にありがとうございました。

無事工事が完了しましたため、ご連絡いたします。」

この1文があるだけで、退去率が一気に下がります。

 

 

□必要に応じて減額の精算

以下を整理して正確に計算します。

・生活に支障があった期間

・ベランダ利用不可期間

・日照低下、洗濯不可期間

・工事会社のミスによる遅延期間

・合意済みの減額率

期間 × 減額率 = 減額金額

 

 

□工事記録の保管

次回工事の際や、別の入居者からの問い合わせに役立ちます。

・保存すべき資料

 ・工事スケジュール

 ・苦情対応記録

 ・減額に関する書面

 ・工事会社の連絡内容

 ・図面や写真

 

 

10.まとめ

 

大規模修繕工事中は、オーナー様にとって不安材料になりがちですが、正しい知識・丁寧な説明・適切な判断基準があれば大きな問題にはなりません。

 

むしろ、誠実に対応することで、

・入居者からの信頼

・長期入居

・建物価値の維持

といったプラスの効果につながります!

 

工事には少し手間がかかりますが、入居者との関係を強化し、資産を守るチャンスと考えて、前向きに取り組んでいきましょう!!

 

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